2021-07-19 いぼ痔とダイエット? 座り仕事の40代女性「いぼ痔とダイエット」意外な関係 =Getty Images A子さん(40代前半)は、あるメーカーの事務職です。「最近、排便する際に出血することがあります。どうすればいいでしょうか」と相談を受けた産業医の佐藤乃理子さんが精密検査を勧めたところ、いぼ痔と判明しました。さらに、この病気にはA子さんが習慣としているダイエットが関係している可能性があるといいます。どういうことでしょうか。【毎日新聞経済プレミア】 ◇いぼ痔と診断 排便時の出血は、大腸がんなどの悪性腫瘍の疑いがあるため、すぐに消化器内科で精密検査を受けることを勧めました。そして後日、精密検査の結果が出たA子さんとオンラインで面談しました。 精密検査の結果、大腸がんや炎症性腸疾患などは確認されませんでしたが、痔核(じかく)があるという診断でした。いぼ痔です。塗り薬で治療しているといいます。A子さんは悪性腫瘍ではないことにホッとする一方で、いぼ痔に関して主治医から注意されたことについて話しました。 A子さんは「主治医から座ったままの長時間の作業を避けるように言われました。基本的に座って作業する仕事が多いので、今後は1~2時間に1回は席を立つことを意識するようにしていきます」と言います。 私は、席を立ったときには軽いストレッチ運動をしたり、出社した場合は昼休みに会社の周囲を少しウオーキングしたりすることを提案しました。 ◇便秘に注意 また、A子さんは、便秘症に注意するように言われていました。「若いころから便秘症なんです。痔になるべくしてなったのだと思いました」と話します。 便秘症で排便が不規則になると、便が硬くなります。そのため排便時に腹に力を入れなければならなくなり、その結果、いぼ痔が大きくなることがあります。 そうして、いぼ痔からの出血が多くなることで、貧血を引き起こす可能性もあります。この点についても、主治医から指摘をされていました。 ◇食事制限のダイエットはNG 一方で、A子さんは、そもそも貧血に注意をしなければならない状況でした。「40歳前後で急に太ったため、食事を控えるダイエットを始めて、それを今も続けています」といいます。そのダイエットは、極端に食事量を減らすことでした。食事を制限したり、偏った食事をしたりすることは、貧血の原因になります。 そして、食事の量を減らすことは、便の量が減ることにつながります。そのため、便秘を悪化させる原因にもなります。当然、いぼ痔にもよくありません。 便の硬さを保ち、量を一定にするためにも、ある程度の食事量を規則正しくとる必要があります。私は、ダイエットを続けるのであれば、生活習慣の中で運動をメインにしていくことが大切だとアドバイスしました。まだ、貧血の症状が出ていないことだけは幸いでした。 A子さんは「体に大きな影響が出ていない今のうちに、生活スタイルを見直し、いぼ痔の治療と便秘の解消を目指します」と話していました。 いぼ痔などは、悪化すると大量の出血や痛みを伴い、手術が必要になる病気です。少し出血しただけなどとあなどることなく、食生活や運動など日常生活の中から予防していくことが大切です。